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ママの話

長いこと抱えてきた、ママのお話ですがそろそろまとめたいと思っている。
何はともあれ、文才の無い人間の書くものなので、まとまりが無いかもしれないですが、なのさんが6年間も吟味してしまっていたマジカルアドベンチャーのお話の序章あたりに位置します。
つまりは自己満足。それでもよろしれければ。

◆むかしむかし
昔々、あるところに小さな国がありました。
その国の王子様と、平民の女が恋に落ちました。
そんな幸せを妬んだ、魔女がいました。
あの手、この手で二人を苦しめようとしますが、二人の愛と勇気は数々の苦難を退け続けました。
魔女は追い詰められ、その強大な力ごと水晶の玉に封じ込まれました。
ついに結ばれた二人は、その玉を遠い遠い海の向こうへ放り投げました。
二人はその小さな国で末永く幸せに暮らし続けました。

◆長い夢
それから長い長い時間が流れました。長い夢のようでした。
暗い暗い海の中で、一人の女が漂っていました。
かつては海の王国で悪さもしましたが、歳も取り、幾度と無く退けられた女はずっと長いこと孤独に過ごし、もう悪さをしようという気も起きず、ただただ日々を過ごしていました。
女が今日も目的もなく、人生の海を漂っていると、こんな暗い海の中で輝くものが目に入りました。
それはちょうど手のひらに乗るほどの小さな水晶の玉でした。ただただそこにあり続ける、水晶の玉にどこか自分と似たものを感じた女は、それを持ち帰る事にしました。
長い夢が覚めようとしているのです。

◆最初の夢
それからどこへ行くにも、水晶の玉を持ち続けていました。
不思議なことに、汚れるような事もなく、光もあまり届かない深さにありながらも、まるで生きているように鈍く輝き続けていました。
女はそれでもなお、孤独でした。
一人であり続ければ感じることはなかった寂しさが徐々に強くなりはじめた、女は毎晩静かに泣いていました。
その晩、眠りの微睡みの中、つい「幸せになりたい」と呟いていました。
その瞬間、いつも傍においていた水晶の玉がそれまで見たことないほど輝きだしたのです。驚く女ですが、広がり続ける輝きに飲まれると気を失ってしまいました。

◆新たな世界
目覚めると、女は浜辺で倒れていました。どこの浜辺かもわかりません。
女はとても焦りました。海の住人は陸の上では生きられません。大慌てで「立ち上がりました」。
そう、女に足が生えていたのです。それも今まで海の中で泳ぐためにたくさんあった足ではありません。まるで、人間のような二本の足です。思わず、その場で尻もちをついてしまいましたが、あまりの出来事に大笑いしてしまいました。ずっとずっと笑う事なんてなかった女です。それまでの分を吐き出すようにたくさん大笑いしました。
一緒に、水晶の玉も浜辺に打ち上がっていました。
これは夢なのかもしれない、現実なのかもしれない。
女からすればそんなことは些細な事だったのです。変化は幸福を呼ぶ。
きっと自分の希望を叶えてくれたのだと感じた女は、大切に大切に、砂がこびりついた水晶から砂を取り払いました。

◆初めての家族
それからはとにかく大変でした。海での生き方は知っていても、陸での生き方を知る由もありません。
いえ、知識としてはもっていました。ですが、いざその両足で立つ地面の硬さはまだまだ慣れません。
最初に、歩き方を練習しました。
次に、走り方を練習しました。
その次に、話し方を練習しました。
その練習相手に、水晶の玉はずっと付き合っていました。
初めての陸の住人との会話は、サーカス団の子供でした。近くの港町で公演をする一座だといいます。
お互い根なし草の立場なせいか、ぎこちなさはありますがすぐに仲良くなることもできました。
特に行くとこもないと伝えると、それならうちを手伝ってくれないかと誘われました。
何もかもがトントン拍子で進んでいきます。女は陸の上で居場所を見つけました。家族を見つけました。
その夜、一座が並んで寝る寝床で、女は嬉しさのあまり静かに涙を流しました。
それは孤独な夜ではない、暖かい夜でした。
そんな女を水晶の玉だけがずっと「見つめていました」

◆ママ
港町での公演は成功していました。
芸をもっていない女は裏方に徹します。
小道具の準備、垂れ幕の上げ下げ、破れた衣装の刺繍、食事の準備・・・やる事はたくさんあり、とても地味で大変な仕事ですが、女はとてもとても幸せでした。自分を必要としてくれる、自分が出来る事がある。
それだけで十分だったのです。
サーカスの子供たち、港町の子ども達にやけに懐かれました。
大きな身体を面白がられているのでしょうが、それでもとてもとても懐かれました。
いつしか、女は「ママ」と呼ばれていました。どことなく、ママというイメージを持たれがちだったのでしょう。きっかけなんてそんなものです。
流れのサーカス団も、この港町の人柄の良さ、観光客が公演を目当てにするなど、ついつい長居していました。
根なし草だったサーカス団も定住を考え始めていました。
海に近いこの街を、ママも好きになりました。
ママを好きだと言ってくれる男の人も出てきました。
顔から火が出るほど恥ずかしくて、嬉しくて、幸せでした。
いつかこの二人も結婚するのかもしれないと、町の住人も、サーカス団もみんながみんなそう思っていました。
とてもとても幸せでした。
出来すぎなほどに。

◆黄昏
町の人達が噂にしていた戦争が、ついにこの港町にもその様相を見られるようになりました。
怯える子供達に「大丈夫だよ」と声をかけ、肩に手をかけてあげることしか出来ません。
しばらくして、とうとうこの町の大人も兵隊として戦に旅立っていきます。
それは女の愛する男も例外ではありません。
戦の前の晩は二人きりで過ごしました。そして約束をしました。
必ず帰ってくるという約束はとうとう叶えられませんでした。

◆子供達
それからすぐに、戦争は終わりました。勝者はありません。
ただただ、たくさん死にました。それが理由です。
親を無くした子供達がたくさんいます。
ママは子供達の為に、大きな鍋を使ってたくさんの料理を作りました。
自分も夫になるはずの人を亡くしたばかりだというのに、それでもなお、ママはママであり続けました。
涙を堪え、歯を食いしばり、子供達を守ろうと日々奮闘しました。
それが、夫との最後の約束です。
町の大人達もママを助けました。

◆その家族は立ち上がる。
私達は生きていかなければいけない。
私達は助け合わなければいけない。
私達はこの運命を許さなければいけない。

ママはそう心決め、戦争で公演どころではなくなったサーカス団を「ファミリー」として立て直そうと奮起しました。前座長はそれならばと、座長の立場をママに譲りました。

私達は人々を笑顔にできる。
私達はその力がある。
私達は生きる為に立っている。

子供達はママに「がんばろう」と言ってくれました。
ネズミの女の子はみんなの姉として。
ウサギの女の子もみんなの姉として。
ヤマネコの男の子は泣き虫だけれども、一番ママを助けてくれました。

私はママ。私達はファミリー。

水晶の玉はずっとずっとこの時を待っていたのかもしれません。
誰にも気づかれないように鈍く輝きました。

・・・

序章、完。
いろいろあってここからマジカルアドベンチャーへ続く話です。

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