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手の上の蟻

メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)
(2010/03/25)
伊藤 計劃

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GWに実家に帰省した時の話をしよう。

実家に帰省する際、必ず鈍行に乗って帰る。
新幹線よりもずっとのんびりと走る電車の中でする事などそれほど多くなくて
帰省の際には携帯ゲーム機の充電をしっかり貯めてから乗るのが常。
でも今回は珍しく読書しながら帰省した。
タイトルは「メタルギアソリッド ガンズオブザパトリオット」
またゲームかよという指摘はさておき、これがまぁノベライズとしてよくファンの心
を掴みまくってると思うのですよ。筆者が監督のファンである事はあとがきから
本当によくわかったのでそれは納得の出来だった。
スパイ小説としてもよく読める力があるので、まぁプレイ必須の内容であるのは
元が完結編である事で致し方ない事なのだけど。

メタルギアソリッドについて。
20年以上に続き、ついに完結した、核による全面戦争から幾度となく世界を救ってきた
ひとりの戦士のストーリー。ゲームソフトである。
恐るべき子供たち計画という、人間のエゴ丸出しの計画によって生まれた蛇の血統に翻弄され
続け、このガンズオブザパトリオッットでついに完結した。
その遺伝子に組み込まれた意図的な人生の終末を前に、次世代に自分たちのツケを残すわけには
いかないと覚悟した老兵の最後の戦いが、PS3で発売されたゲーム、そしてこのノベライズである。
その蛇の血統の原点となるビッグボスの新たなエピソードを描いたPSPソフト「メタルギアソリッド ピースウォーカー」絶賛発売中。
そしてプレイ中。
超面白い。

電車の中で読んだ頃には、もう終盤で、ゲームでも苦労したラストステージ手前から読み始めた。
CGで構成された人間には伝えきる事が出来なかった、老いによって感じる痛み、辛さ、そして死を前にする恐怖。
それが文章に乗せて、読み手の私にズキズキと突き刺さるのです。
前述の後世に残すわけにはいかないツケのケジメをつける為、文字通り体に鞭を打って立ち上がる主人公スネーク。
呼吸一つで痛みを感じる体となってしまった老兵は銃を携え、長年の経験と、血筋の才を持って
とうとう長い長い戦いの終止符を最後には打つ。
これは命の話だと考えた。
銃と弾丸と硝煙の上っ面を被った、命の話なのだと。
この書き手である、伊藤計劃さんは実は既に故人である。
あとがきにあった監督の文章からわかったのだけど、MGS2の頃から既に病に侵されていたという。
文字通り死を前に生きる事を信じ、書き下ろした入魂の文章なのである。
スネークが老いにやられ、苦しむ文章のひとつひとつがとても痛い。
なぜこうもストレートに伝える事ができるのだろう。それもそのはずだ。著者は苦しみを知っていたからだ。
同時に心の底から生きたいと願った事が無ければこうも心に残るものにはならなかったはずだ。
純粋に監督のゲームのファンとしても、文章を書く人間としても、様々な意味で伊藤計劃さんでなければならなかった。
実は既に著者が故人である事は知っていたから、涙腺を抑えるのがちょっと大変な帰省中だった。

地元の駅でとある女の子を待っていた。
こっちで知り合った女の子で何の因果か今は私の地元に住み、秋にはママになる。
ちゃんとまともに顔合わせるのは3年ぶりくらいだ。
ぶっちゃけマリオやりに行くというだけで、呼び出されたようなものなのだがそれはいいとして。
こんな小説を読んだ後、そして昨年色んな意味で生死観が揺らぎまくった自分としては色々考えていた。
悲壮感溢れておきながら、その根底にあるのは命だと勝手に受け止めた俺。
「スネークはもういない」とはっきりと残した晴れやかなエピローグ。
近い将来、色々な不安を抱えながらもちゃんとママになろうとしている女の子。
その後、マリオを片付けた後、地元のくせに迷子になりそうな俺をバス停まで送ってくれたその子に感謝してバスに乗る。

バスの中でもまた、あとがきを読み返しながらふと気づいたのが、手の甲を這い回っていた蟻である。
こんなのが立て続けにあったからこそ考えた命の事。
身体の大きさはそれなりにあるが、命の結果は最後までわからない。
この蟻も色々な事があって、手の上を歩いているのだ。
でも残念だ、既に満席なんだぜ。だって人間だもの。
だからお前はお前の歩き方で地面に戻れと、でもこうして俺に乗っかってきたのがお前のやり方なら送っていってやろうじゃないか。
お前は小さいんだ。
適当に生きている俺でも出来る事があるなら協力しようじゃないか。
でもあれだ、早いとこ帰るんだぞ。
帰れる足があるんだから、帰れるさ。
大冒険になるかもしれないな。

地元では、ひとりで散歩しながら、
知らないうちに変わってた店をウロウロしたり、
高校の頃付き合ってた女の子と待ち合わせにしてた公園とか行ってみて、センチメンタルに浸りながらそこにおった猫と
戯れてたり、服買ったりしてた。

でも、そんな中でも頭から離れなかったあの蟻。
そのうち忘れるだろうが、そんな事を思ったのだと残しておく。
そんな奇妙なGWだった。
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